7時ごろだろうか、〈ホッピー仙人〉に着いたのは。既にVさんやKさんが飲んでいた。
取材もちょうど終わったあとで和やかにみんな飲んでいた。
そこへある男性が入ってきた。この人はいつもニコニコしながらひとりで黙って飲んでいる。よく見る顔なので、あるとき私は仙人に「あの人だれ?」って訊いてみたところ、仙人もよく知らないという。あまり自らの素性を語りたがらない人らしいのだ。飲みにくる人のなかには色んな人がいるので、話したくない人にはあまり根掘り葉掘り訊かないようにしているという。
どういう話題からそこへ話がいったのか私もよく覚えていないが、みんなの話題は、なぜか「K町とのかかわり方」みたいな方向へと進んでいった。
良識的なKさんは次のような発言をした。
「K町って、若い女が観光気分で軽々しく飲みにでかけるような街じゃないよね。そこに住んでいる人たちの生活を乱すような行動は控えるべきだよね」
私はそれを聞いて、「なるほど」と思った。非常にデリケートな問題を抱えている街なので、野毛の飲兵衛ラリーの気分で訪れてはいけないというのだ。たしかにK町に住んでいる人たちというのは好んでそこに住んでいるわけではない方がほとんどだと思う。それで「特殊な街」というイメージがある。飲兵衛は「特殊な街」の「特殊な呑み屋」というのはやっぱり興味があるから、観光気分で出かけてしまう。その気持ちもわかる。事実、私もそのような浮かれた気分で何度かK町の呑み屋に出かけている。(自分では社会勉強だというつもりで)しかし、私も自粛しなければならない、と反省した。
Kさんは、そのとき、K町に住んでいる人たちの立場に立った発言をしたはずなのだ。
ところが、「ニコニコ顔」の人がやにわに立ち上がり、千円札を数枚カウンターに叩きつけながら非常に激怒してこう言い放った。
「最低だ!オレはK町に住んでるんだよ!」
まったく意外な出来事だったので、みな何が起こったのかその意味を図りかねていた。。
「ニコニコ顔」の人は春の風とともに去っていった。なんだか映画のワンシーンでも見ているような感じだった。
彼はなぜそんなに激怒したのだろうか?「皆でK町に住んでいる人のことを馬鹿にしていると勘違いしたのか?」それとも「K町に住んでいる人たちはそもそも同情されることが大嫌いなのか」それとも「私たちの言葉のどこかに差別的な発言があったのだろうか」……。
取材もちょうど終わったあとで和やかにみんな飲んでいた。
そこへある男性が入ってきた。この人はいつもニコニコしながらひとりで黙って飲んでいる。よく見る顔なので、あるとき私は仙人に「あの人だれ?」って訊いてみたところ、仙人もよく知らないという。あまり自らの素性を語りたがらない人らしいのだ。飲みにくる人のなかには色んな人がいるので、話したくない人にはあまり根掘り葉掘り訊かないようにしているという。
どういう話題からそこへ話がいったのか私もよく覚えていないが、みんなの話題は、なぜか「K町とのかかわり方」みたいな方向へと進んでいった。
良識的なKさんは次のような発言をした。
「K町って、若い女が観光気分で軽々しく飲みにでかけるような街じゃないよね。そこに住んでいる人たちの生活を乱すような行動は控えるべきだよね」
私はそれを聞いて、「なるほど」と思った。非常にデリケートな問題を抱えている街なので、野毛の飲兵衛ラリーの気分で訪れてはいけないというのだ。たしかにK町に住んでいる人たちというのは好んでそこに住んでいるわけではない方がほとんどだと思う。それで「特殊な街」というイメージがある。飲兵衛は「特殊な街」の「特殊な呑み屋」というのはやっぱり興味があるから、観光気分で出かけてしまう。その気持ちもわかる。事実、私もそのような浮かれた気分で何度かK町の呑み屋に出かけている。(自分では社会勉強だというつもりで)しかし、私も自粛しなければならない、と反省した。
Kさんは、そのとき、K町に住んでいる人たちの立場に立った発言をしたはずなのだ。
ところが、「ニコニコ顔」の人がやにわに立ち上がり、千円札を数枚カウンターに叩きつけながら非常に激怒してこう言い放った。
「最低だ!オレはK町に住んでるんだよ!」
まったく意外な出来事だったので、みな何が起こったのかその意味を図りかねていた。。
「ニコニコ顔」の人は春の風とともに去っていった。なんだか映画のワンシーンでも見ているような感じだった。
彼はなぜそんなに激怒したのだろうか?「皆でK町に住んでいる人のことを馬鹿にしていると勘違いしたのか?」それとも「K町に住んでいる人たちはそもそも同情されることが大嫌いなのか」それとも「私たちの言葉のどこかに差別的な発言があったのだろうか」……。